【活用編⑨】Geminiで調べ物を一枚にまとめる ― 情報整理の新しい習慣

【活用編⑨】Geminiで調べ物を一枚にまとめる ― 情報整理の新しい習慣

インターネットで調べ物をしていると、気づけばタブが10個以上開いている。どの情報が大事なのか分からず、読み比べるうちに時間だけが過ぎていく──そんな経験は多いのではないでしょうか。

Geminiのような検索連携型の生成AIを使うと、「あちこちのページで調べた結果」を1枚の整理されたメモにまとめてもらうことができます。自分で集めた情報やURLを渡し、「このテーマについて1ページで分かる資料にしてください」と頼めば、要点を押さえた“まとめページ”を作ってくれます。

この記事では、新しいサービスやツールの比較、補助金・制度の条件整理、複数の資料からの要約という3つのシーンを例に、「Geminiで調べ物を一枚にまとめる」ための具体的なプロンプトを紹介します。

1. 「誰が読む一枚か」を先に決めてから相談する

調べ物をまとめるとき、最初に決めるべきなのは「誰が読む一枚か」です。自分のメモなのか、社内メンバーに共有するものなのか、経営者向けの報告なのかによって、盛り込むべき情報や書き方は変わります。

そこで、Geminiに相談するときは、「誰が読む」「何のためにまとめる」「どのくらいの長さにしたいか」をセットで伝えます。

例:「次の情報を、社内メンバーに共有するためのA4一枚のメモにまとめてください。読者はITに詳しくない中小企業の経営者で、『何ができるサービスか』『どんな場面で役立つか』が一読で分かるようにしてください。」

このプロンプトでは、読み手と目的、分量のイメージを先に指定しています。そのうえで、後続のプロンプトで具体的な情報を渡していきます。

2. 事例①:新しいサービス・ツールの比較を一枚の表にする

最初の事例は、業務に使うクラウドサービスやツールの比較です。公式サイトやレビュー記事をいくつも読み、最終的に「どれも良さそうで決め切れない」という状態に陥りがちです。

ここでは、候補となるサービス名と、自分が気になっている比較軸をあらかじめ整理してGeminiに渡し、「比較表」という形で一枚にまとめてもらいます。

例:「次の3つのサービスについて、公式サイトなど公開情報をもとに比較表を作成してください。列は『サービス名』『主な機能』『料金の目安』『中小企業が使う際のメリット』『注意点』としてください。サービス名:◯◯/◯◯/◯◯。」

このプロンプトでは、比較したい観点(列)を先に指定しています。そのため、後から見返したときにも判断軸が一目で分かり、「なんとなくの印象」で選んでしまうことを防げます。

より自社向けに絞り込みたい場合は、条件を追加で伝えます。

例:「上の比較表をもとに、従業員10名程度の小売業が導入する場合に特に相性が良さそうなサービスを1つ選び、その理由を3つのポイントで説明してください。」

このプロンプトでは、「自社の規模と業種」を条件として付け加えることで、「一般論の比較」から「自社目線の候補整理」に一歩踏み込んだ提案をもらえます。

3. 事例②:補助金・制度の条件を“ざっくり一覧”にする

次の事例は、補助金や助成金など制度の条件整理です。公募要領やFAQを読み込むのは大切ですが、まずは「どんな制度があって、どのくらいの規模感なのか」をざっくり把握したい場面も多いはずです。

この場合も、「候補となる制度名」と「知りたい観点」を指定したうえで、一枚の一覧にまとめてもらいます。

例:「次の3つの補助金制度について、最新の公表情報をもとに、概要を一覧にまとめてください。列は『制度名』『対象となる事業者のイメージ』『主な対象経費』『補助率・上限額』『公募時期の傾向』としてください。制度名:◯◯/◯◯/◯◯。」

このプロンプトでは、詳細な条件の前に、「どんな事業者がどのような目的で使う制度か」をつかむことを重視しています。全体像をつかんだうえで、必要に応じて個別の制度を深掘りしていくと、検討がスムーズになります。

なお、実際の申請にあたっては、必ず公式の公募要領や問合せ窓口で条件を確認することが前提です。Geminiで作った一覧は、「候補を絞り込むためのメモ」として活用するとよいでしょう。

4. 事例③:複数の資料から論点だけを抜き出してもらう

3つ目の事例は、複数の資料や記事から「論点だけを抜き出す」場面です。たとえば、業界レポートとニュース記事、社内分析資料を合わせて読んでいると、「結局今、何が重要なポイントなのか」がぼやけてしまうことがあります。

こうしたときは、各資料の要点を自分で2〜3行ずつ要約し、それらの要約をまとめてGeminiに渡します。そのうえで、「共通しているポイント」と「意見が分かれているポイント」を整理してもらいます。

例:「次の3つの要約文をもとに、このテーマについて共通して重要だと言われているポイントを3つ、意見が分かれているポイントを2つ挙げてください。それぞれ1〜2行で説明してください。」

このプロンプトでは、「どんな観点で整理してほしいか(共通点・相違点)」を指定しています。複数の資料を読んだあとの“頭の中のごちゃごちゃ”を、論点ベースで整えてもらえるイメージです。

さらに、その論点を会議用のメモに変換してもらうこともできます。

例:「上で整理してくれた論点をもとに、社内ミーティングで使うためのA4一枚のメモ案を作成してください。『現状の整理』『論点の一覧』『当社として決めるべきこと』の3つの見出しに分けてください。」

このプロンプトでは、読み手と用途を明確にしているため、「今後の議論のたたき台」として使いやすいメモに仕上げてもらえます。

5. 調べ物を“1ページにまとめる”習慣をつくる

Geminiに調べ物を手伝ってもらうときのポイントは、「最初から完璧な1ページを作ろうとしない」ことです。最初はラフなメモでもかまいません。調べた内容をその都度貼り付けておき、あとから「A4一枚に整理してください」と依頼する流れを決めておくと、情報が散らかりにくくなります。

日常的には次のようなタイミングで、「1ページまとめ」を頼んでみると便利です。

・新しいツールやサービスを検討するときの候補整理
・補助金や制度の概要を上司や同僚に説明するとき
・複数のレポートや記事を読んだあとの論点の整理

こうした場面で「まずGeminiで1枚にまとめてから、人に共有する」という習慣を持つと、調べ物の時間を短縮しながら、周囲と情報を共有しやすくなります。

調べ物にかける時間をゼロにすることはできませんが、「集めた情報をどれだけうまく整理できるか」は工夫次第で変えられます。Geminiを“情報集めの代行”ではなく、“情報整理のパートナー”として使うことで、タブだらけの画面から解放され、判断に使える形で知識を手元に残せるようになります。

次に何かを調べるときは、複数のページを読むだけで終わらせず、「最後にこのテーマをA4一枚にまとめるとしたら、どんな見出しが良いか」をGeminiに相談してみてください。一枚のメモを作るクセがつけば、情報収集の質そのものが自然と高まっていきます。

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