補助金も助成金も、国や地方公共団体（民間の団体でおこなっているものもあります）から支給され、原則は返済不要です。
「助成金」や「補助金」という言葉は必ずしも明確に区別されていない場合があります。例えば経済産業省が所管している「助成金」の中には、「補助金」の色合いが強いものもあります。
補助金は予算が決まっており、申請時に事業計画書を提出しその内容により審査を受けるため、申請しても採択とならない可能性もありますが、助成金は、要件さえ満たせば原則は受給できるため、補助金よりもハードルが低いといえます。
期間内に応募して採択されると支給されます。応募のための書類や事業計画書など様々な材料が審査対象とされ、期間内に応募しても審査を通らない場合も多くあります。
実際に補助金が入金されるまでの大まかな流れはこちらです。
募集期間は数週間から1カ月程度であるケースがほとんどなので、いつの間にか募集期間が終わっていた…となってしまわないよう、こまめに情報をチェックしましょう。
ものづくり補助金は、主に中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資を支援する制度です。
※「公募回（第○次）」や締切時期は更新されます。最新の公募要領に合わせて記載を更新してください。
対象となる経費には「機械装置・システム構築費」や「運搬費」をはじめ、「クラウドサービス利用費」なども含まれます。
具体例として下記のような活用例があります。
ものづくり補助金は事業類型によって枠が分かれます。補助上限や補助率は公募回・類型で変わるため、申請時点の要領で確認してください。
| 枠・類型 | 補助上限（最大）※特例時 | 補助率 |
|---|---|---|
| 省力化（オーダーメイド）枠 | 8,000万円（1億円） | 1/2 ～ 2/3（※一部条件あり） |
| 製品・サービス高付加価値化枠（通常類型） | 750万円 ～ 1,250万円（2,250万円） | 中小 1/2 ／ 小規模 2/3 |
| 製品・サービス高付加価値化枠（成長分野進出類型） | 1,000万円 ～ 2,500万円（3,500万円） | 2/3 |
| グローバル枠 | 1,000万円 ～ 3,000万円（4,000万円） | 1/2 ～ 2/3 |
小規模事業者が「販路拡大」などに取り組む際の経費の一部を補助する制度です。地域にとって重要な存在である小規模事業者を支援して、生産性の向上と持続的発展を応援することを目的としています。
最大250万円（特例時）の補助が得られる持続化補助金ですが、対象となる経費は基本的に「広報費」と「機械装置等費」がメインとなります。
「IT導入補助金」は中小企業や小規模事業者を対象とした支援制度です。企業におけるITツールやテレワークツールの導入を支援します。2025年度は導入後の運用定着を支援する「活用支援」も補助対象に含まれます。
| 事業類型 | 補助額 | 補助率 | 対象経費 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 5万～450万円 | 1/2（※一部2/3） | ソフト費・クラウド料・導入コンサル費 |
| インボイス枠 | ～350万円 | 2/3 ～ 4/5 | ソフト費・PC／レジ等ハード費 |
2025年度より、従来の事業再構築補助金は、より成長分野への進出を重視した枠組みへ再編されました。新分野展開や業態転換を通じて規模の拡大を目指す企業を支援します。最大で9,000万円（賃上げ特例時）の補助を受けることができます。
補助金のような事前審査がなく、要件を満たせば基本的に助成を受けられるのが特長です。ただし、申請書類の確認で要件を満たしていないと判断されれば不支給となることもあります。受給までに1年～3年かかる場合もありますのでご注意ください。
厚生労働省が管轄する助成金は多岐にわたりますが、特に利用価値の高い2つの事例をご紹介します。
有期雇用労働者等を正規労働者に転換した場合に国から支給される助成金です。2025年現在、中小企業の場合、1人あたり57万円（有期→正規）が支給されます。
| 会社規模 | 転換形態 | 支給額（1人あたり） |
|---|---|---|
| 中小企業 | 有期 → 正規 | 57万円 |
| 無期 → 正規 | 28.5万円 |
新規事業の立ち上げや、DX（デジタルトランスフォーメーション）化に伴い、従業員に専門的な研修を受講させた際の経費や賃金を支援する助成金です。
| 区分 | 支給率・支給額（中小企業） | 上限額 |
|---|---|---|
| 経費助成 | 実費の 75% | 最大 50万円 |
| 賃金助成 | 1時間あたり 960円 | 1,200時間まで |
新たな事業へのチャレンジや思い切った事業拡大を支えてくれるのが、補助金や助成金です。積極的に使いたいところですが、申請の複雑さに申請を諦めてしまう人が多いのが現状です。
補助金は「審査（採択）」、助成金は「要件（適合）」が基本の違いです。自社の目的（設備投資／販路開拓／人材育成／IT化など）を先に決め、合う制度を絞って準備を進めると、無駄なく申請しやすくなります。
※本記事は概要の整理です。制度の詳細は必ず公式情報をご確認ください。