【基礎編⑧】プレゼン資料をAIと一緒に作る

【基礎編⑧】プレゼン資料をAIと一緒に作る

プレゼン資料づくりで一番つらいのは、「最初の1枚目が真っ白なとき」です。何枚必要か、どんな順番で話すべきかが決まっていないと、PowerPointを開いたまま時間だけが過ぎていきます。

生成AIを使うと、この「ゼロから考える」苦しさをかなり減らせます。AIに目的とゴール、話したい内容を渡し、「一緒に構成を考える相棒」として使うイメージです。

ここでは、小さな美容サロンが新しいサブスクサービスをスタッフに説明する、というシーンを例に、プレゼン資料をAIと協力して作る具体的なプロセスとプロンプト例を紹介します。

1. 目的・相手・時間をセットで共有する

最初に決めるべきは、「誰に・何を・どれくらいの時間で」話すのかです。これがはっきりすると、必要なスライド枚数や構成が自動的に絞られてきます。

たとえば、美容サロンのオーナーがスタッフ向けに新サービスの説明をするとき、メモとして次のように書き出します。

・対象:店舗スタッフ5名
・目的:新しい定額制ヘアケアプランの内容を共有し、不安を解消する
・時間:15分程度
・ゴール:質疑を含めて、全員が「お客様にどう説明するか」をイメージできる状態

このメモをそのままAIに渡し、スライドの構成案を相談します。

例:
「次の情報をもとに、スタッフ向けの説明用プレゼンの構成案を作ってください。
・15分/6〜8枚程度
・目的とゴールもスライド内でわかるようにする
・各スライドに『タイトル』『1文で表すメインメッセージ』『話すポイント(箇条書き3つまで)』を提案してください。」

この段階では、まだ細かいデザインや言い回しは気にせず、「どの順番で何を話すか」をざっくり決めることに集中します。

2. 1スライド1メッセージに絞り込む

構成案ができたら、各スライドのメッセージを「一言で言えるレベル」まで絞ります。メッセージが複数混ざっていると、スライドを見た相手が「結局何が言いたいのか」がわかりにくくなってしまいます。

そこで、AIに「メッセージの絞り込み」を手伝ってもらいます。

例:
「この構成案をもとに、各スライドのメインメッセージを1文に絞り込んでください。
・20字以内
・スタッフが聞いて『なるほど』と思える表現
になるように調整し、スライド番号とセットで一覧にしてください。」

さらに、図や表が必要になりそうなスライドをAIに教えてもらうと、後の作業がスムーズになります。

例:
「上記のスライド一覧のうち、図や表で説明した方がよいスライド番号と、その図のイメージ(例:現在と将来の比較図、料金表の表形式など)を提案してください。」

こうして「1枚あたりの役割」がはっきりすると、スライドに入れるべき要素と、思い切って削るべき要素が見えてきます。

3. ストーリーラインと話し言葉の原稿をつくる

プレゼン資料は、スライドだけでなく、「どのような順番で、どんな言葉で話すか」というストーリーラインも重要です。ここでも、生成AIは頼れる相棒になります。

先ほど作ったスライド構成をもとに、話す順番と時間配分を含めたストーリーを作ってもらいます。

例:
「このスライド構成をもとに、15分のプレゼンのストーリーラインを作ってください。
・各スライドごとの想定持ち時間
・話す順番の確認(必要であれば入れ替え提案)
・1スライドにつき『話し出しの一文』を作る
ようにまとめてください。」

さらに、「話し言葉の原稿」を短く作ってもらうことで、本番での緊張を和らげることができます。

例:
「スライド3〜5について、それぞれ1分程度で話すことを想定した話し言葉の原稿を作ってください。
・難しい言葉は避ける
・お客様との会話を想像しながら説明するトーン
・1文を短めにする
ように整えてください。」

原稿をそのまま読む必要はありませんが、「この通りに話せば最低限は伝わる」という安心材料があると、プレゼン全体の落ち着きが違ってきます。

4. スライドの文章を短く・やさしく整える

最後に、スライド上の文章を短く整えます。説明の詳細は口頭で行う前提にして、スライドには「キーワード」や「短いフレーズ」だけを残すイメージです。

たとえば、料金説明のスライドが長文になってしまった場合、AIに次のように依頼します。

例:
「この料金説明の文章を、スライド用に短くしてください。
・箇条書き3〜5行
・各行は15字以内
・金額と特典が一目でわかる
ように整理し、スライドに載せる文と、話すときに補足する説明文を分けて提案してください。」

専門用語が多くなってしまったスライドについては、「中学生にも伝わる表現」に書き換えてもらうと、ぐっと分かりやすくなります。

例:
「この説明文を、中学生にもわかるレベルの言葉に言い換えてください。
・カタカナ語は必要最低限に
・1文を短く
・例え話を1つ入れる
ことを意識して書き直してください。」

こうした調整を一枚ずつ行っていくことで、「情報量は十分なのに読みやすい」プレゼン資料に仕上がっていきます。

プレゼン資料づくりは、「構成を決める」「メッセージを絞る」「言葉を整える」という3つの工程に分解できます。生成AIは、このうち特に前半2つの工程を大きく助けてくれます。

次に資料を作るときは、いきなりスライドソフトを開くのではなく、まずAIに「誰に・何を・何分で話すのか」を伝えて構成案をもらってみてください。白いスライドとにらめっこする時間が減り、本当に伝えたい中身に集中できるようになります。

前の記事記事一覧に戻る次の記事